八戸市議会 2022-03-02
令和 4年 3月 定例会-03月02日-04号
福祉部長 池田和彦 君
健康部長 佐々木勝弘君
市民防災部長 秋山直仁 君
環境部長 石上勝典 君
建設部長 八木田満彦君
都市整備部長 大志民 諭君
教育部長 石亀純悦 君
交通部長 佐藤浩志 君
市民病院事務局長 松田大平 君
監査委員 大坪秀一 君
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出席事務局職員
事務局長 田中一美
次長兼庶務課長 佐々木結子
議事課長 榊原正克
副参事(
議事グループリーダー)
山道隆央
主幹 槻ノ木沢昌敏
主査 八木橋昌平
主査 安藤俊一
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午前10時00分 開議
○議長(森園秀一 君)これより本日の会議を開きます。
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△日程第1 一般質問
○議長(森園秀一 君)日程第1一般質問を行います。
順次質問を許します。
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8番 久保しょう君質問
○議長(森園秀一 君)8番
久保しょう議員の質問を許します。
久保しょう議員
〔8番久保しょう君登壇〕(拍手)
◆8番(久保しょう 君)おはようございます。日本共産党の久保しょうでございます。通告に従って、2022年3月
八戸市議会定例会において、市長並びに理事者各位に質問いたします。
まず初めに、ロシアの
ウクライナ侵攻に対して、怒りをもって侵攻の中止を求めるものです。他国を武力で侵略することは、絶対にあってはなりません。この戦争で、ロシアは核の先制使用をちらつかせています。国連が世界各国と連帯し、ロシアの暴挙に対し、ウクライナからの撤退をさせ、
ウクライナ国民の命を守るための努力を重ねるように望みます。
それでは質問に入ります。
初めに、コロナ禍での事業者に対する新たな独自支援について質問いたします、
私は、さきの12月議会でも困窮する事業者への独自の支援を要望しましたが、今の飲食店はお客が減少し、売上げの大幅な減少につながり、商売ができない状況下にあり、中心街の明かりが消えて閑散とした様相を呈しております。全く将来の展望を見いだせない状況にあります。オミクロン株の感染が急拡大をし、市内でも教育・福祉施設を中心にクラスターが発生し、感染者が増大しています。昨年よりもそれ以上の景気の悪化を招いており、飲食業ばかりでなく、関連する全ての事業者に対する行政の早急な財政支援がなければ、廃業や倒産を食い止めることはできません。経済の好循環をもたらすためにも、今こそ市内の事業者に対して新たな独自の支援金を支給する考えはないか質問します。
次に、県に対する
まん延防止等重点措置の適用を県に要望することについて質問します。
感染が県内で広がり続け、1月25日には、弘前市を実施区域とする
まん延防止等重点措置が適用されました。県内の感染者状況は、感染者が初めて300人を超えた1月26日に、
感染症対策コーディネーターからは、まだ伸びる可能性は十分あり、今がピークではないとする状況にあること、さらに、市中感染の様相になってきていることを指摘されており、あらゆる手だてを尽くし、感染を抑制させるべき局面となっていると発言されています。市内でも、急速に飲食店を中心とする事業者の苦境に拍車がかかっている現状にあります。客足は遠のき、事実上の時間短縮を強いられています。
これらの影響は、飲食店に限らず、関連業者などにも広く及んでいます。県の
コロナ感染症の対処方針の立場からも、感染対策上からも、県に対して、地域、業種に限定しない
まん延防止等重点措置を市にも適用し、事業者支援を早急に具体化することを求める考えはないか質問します。
次に、
インボイス制度導入の中止を求める考えについて質問します。
今、消費税の
インボイス制度は延期や中止にの声が全国で広がっています。地元の
八戸民主商工会からも中止を求める陳情が出されています。
インボイス制度が実施されれば、免税業者に耐え難い税負担と実務負担を押しつけるもので、零細事業者が課税事業者になるか、免税事業者のままで値引きを受け入れるか、選択をしなければならないため、廃業を考える事業者も増えていると聞いています。
日本商工会議所や
中小企業団体中央会など官製商工団体も凍結や見直しの声を上げています。国会では、免税業者が取引から排除されたり、煩雑な事務負担などの問題を指摘し、
インボイス制度の延期や見直しを求める議論がなされています。全
商連青年部協議会は、免税事業者が課税事業者にならなければ、収入減や休廃業を余儀なくされると財務省や国税庁に実態を突きつけております。
ところが、国は、延期しない、制度の円滑な導入に取り組んでいくと姿勢を変えようとしていません。財務省は、4年間の準備期間、さらには6年間の経過措置を設けている、事業者同士の取引でも相手方が簡易課税制度を利用していればインボイスは不要などと強弁しています。
インボイス導入で狙われているのは、中小企業の淘汰とさらなる税収の確保です。問題だらけの
インボイス制度は廃止するしかありません。
そこで、中小零細業者を倒産に追い込むような制度である
インボイス制度の実施の中止を国に要望する考えはないか質問します。
次に、学校給食の無償化について質問します。
各自治体では、少子化対策の一環として
子育て支援対策が進められています。子育てしやすい環境づくりを進める中で、人口の増加に努めています。県内でも次々と子育て支援の施策として、学校給食費の無償化を打ち出しています。現在では、給食費の無償化を実施、移行をしている自治体は、県内では、横浜町、階上町、東北町、おいらせ町、南部町、六ヶ所村、五所川原市、七戸町、新郷村などが無償化の実施や意向を表明しています。当市でも、熊谷市長が公約としている
子どもファースト事業を目玉とする面から、さらには、職員の給食費の徴収の煩わしさを解消することなどから給食費の無償化をする必要があると考えます。
そこで、改めて、子どもの学校給食費の無償化について、まずは第3子からの給食費の無償化を進め、将来的には全ての小中学校での給食費の無償化を進める考えはないか質問します。
次に、就学援助の拡充について質問します。
まず、就学援助の所得制限の拡充について質問させていただきます。当市でも、長引くコロナ禍の影響で、教育費の負担に悩む家庭が多くなっています。それらの家庭に対する支援対策として、学用品や給食費など学校に係る費用を補助する
就学援助制度の拡充をする考えはないか質問いたします。
まず初めに、
就学援助制度に係る所得制限の幅を生活保護基準の1.4倍、4人家族で年収約590万円まで拡大し、所得制限の引上げで就学支援の対象世帯を拡大する考えがないか質問します。
次に、この申請書の取扱いについてですが、就学援助の申請については、世田谷区などでは学校から全員に申請書を配り、全員から申請書を回収する仕組みに変更されて、就学援助の利用者の増加で子育て世代から大歓迎を受けていると伺っています。当市でも先進地に学び、対象者の申請をためらわせない方法として、就学援助の申請書を全員からの回収にする方法に変える対応ができないか質問します。
次に、発達障がい児に専門大学との連携による学習支援について質問します。
発達障がいとは、生まれつき見られる脳の働き方の違いにより、行動面や情緒面に特徴がある状態と言われ、養育者や育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあるとされています。発達障がいがあっても、本人や家族、周囲の人が特性に応じた日常生活や学校、職場での過ごし方を工夫することで持っている力を生かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができるとされています。発達障がい児の
関係者は、子育てで悩んでいても、どこに、誰に相談すればいいのか、分からないまま、相談できないのが実情ではないでしょうか。発達障がい児を抱える家族からの
支援センターへの相談件数は年々増加している現状にあります。市としても、支援については様々な方策により積極的に取り組んでいますが、問合せの数に対応できないことや多岐にわたる症状などに合わせた専門的な知識や経験を踏むなどの人材確保に苦労している児童施設
関係者も多く見られるのではないでしょうか。
先日、地元紙でも取り上げられていた発達障がい児の保育レポートでは、専門的知識と経験が重要なキーワードとなっています。そのため、保育専門の短大や大学との連携を図っている全国の事例も報告されています。報道での結びでは、どんどん専門家を頼ってほしいと訴えられていました。生きづらさを抱えている子どもたちへの助言や指導ができる専門的知識を備えて、人材やITを活用した授業など、また、行政の手厚い支援と自治体と保育施設、専門学校などの横の連携を強めて、子どもらの健やかな発達に寄与することが必要と考えます。
全国では、
保育士人材育成で自治体と協定を結び、障がいのある子どもの保育や療育に関する能力を高めることに取り組んでいる例もあります。岐阜市では、保育士や幼稚園教諭らが短大に通い、障がいのある子どもを育てる上での知識や考え方などを1年を通じて学ぶ制度を導入しています。また、短大に対して、学生が障がいのある子どもたちの保育を実践する研修の場を提供することを締結しています。このことから、生活環境の変化や社会状況の変化で多様な症状のある発達障がい児に対する取組として、市でも保育専門の短大や大学との締結を結び、連携を強めて保育士研修をすることで、発達障がい児の学習支援につなげる考えはないか質問します。
次に、発達障がい児への学習支援については、
GIGAスクール構想の一環として、発達障がいのある児童生徒の学習支援に情報通信技術を活用して、障がいのある子も、ない子も、共に学ぶ共生社会の実現の一助となると期待されています。愛知県常滑市の
特別支援学級では、
タブレット端末のアプリで漢字や九九の問題を解き、慣れた手つきで音声ペンを国語の教科書にタッチし、ペンが文章を読み上げることで正しく読めるようになったと報道されています。文字を目で追うことが苦手であったが、音声ペンを使うことで本が大好きになったそうです。
この支援学級では、紙とIoT機器を併用して大きな効果を生み出しています。音声ペンとそれに対応した教科書は茨城大学が国の委託を受けて製作し、全国の申請者に提供しているとのことです。このことから、
タブレット端末を活用した発達障がい児の学校教育を推進する考えはないか質問します。
次に、水産行政の振興について質問します。まず、サーモンの養殖事業について質問します。
水産業界では、各地で捕る漁業から育てる漁業への転換が図られています。漁模様を天候に左右されたり、海水温の上昇などの地球温暖化の影響などで、今までの漁業の在り方を根本的に変革する必要に迫られています。このような状況を打開する道として、養殖事業への参入促進を検討すべきであると考えます。市内でもフグの養殖事業に取り組んでいる事業者も報道されています。全国では、
サーモン養殖業に広く取組が進められています。サーモンの養殖事業は水産事業の促進の一環として発展する要素を含んでいるものと考えることから、積極的に市内の水産事業者と連携を図り、
サーモン養殖業への支援をする考えはないか質問します。
次に、水産大学を誘致する考えはないか質問します。
地球気候変動などの影響で、先ほど言ったように温暖化や漁獲の増加で漁業資源の枯渇を招いています。したがって、将来の漁業の継続した発展を望むために欠かせないのが水産大学等との連携です。各地では、漁村地域と大学との連携事例が報告をされています。気仙沼市では、東京海洋大学と
包括連携協力協定を結び、産業の育成に生かしている例もあります。このことから、市も水産大学を誘致して大学と連携して水産業の促進を図っていくためにも、積極的に水産大学や水産学部などの誘致を進める考えはないか質問します。
最後に、
会計年度任用職員の賃金改善について質問します。
国内では、ジェンダー平等への取組が進められています。しかし、女性職員の割合が高い市の
会計年度任用職員の賃金の面では、ジェンダー平等の観点からも、女性労働者の待遇の面でも、正規職員との賃金の格差が広がっているのが現状であります。
会計年度任用職員の年間収入は180万円以下となっており、これでは生活していけない賃金水準となっています。ましてや、
シングルマザーであれば、なおさら生活に困窮している状況にあります。国の調査によれば、正社員でも女性の賃金は男性の7割、非正規を含む平均給与は、男性で500万円、女性で300万円程度です。年金でも大きな男女格差になり、定年まで働いても年金で生活できない女性は圧倒的です。EUなどでは女性の賃金は男性の8割から9割になっていることが大問題となり、男女の賃金格差を企業に義務づけ、透明化をテコに是正させるEU指令案を発表しています。八戸市民の平均年収は約430万円でございます。
会計年度任用職員の賃金は最低でも高卒給与水準を基準として、経験年数による加算を行うような条件にすべきと考えます。市は
会計年度任用職員の賃金を引き上げる考えはないか質問して、壇上からの質問を終わります。
〔8番久保しょう君降壇〕(拍手)
○議長(森園秀一 君)市長
〔市長熊谷雄一君登壇〕
◎市長(熊谷雄一 君)おはようございます。久保議員にお答え申し上げます。
まず、新たな独自支援についての御質問ですが、これまで当市では、
新型コロナウイルスにより経済的な影響を受けた事業者を対象に、1事業者につき一律20万円を給付する八戸市
新型コロナウイルス対策支援金を3度にわたり実施してまいりました。このほか、昨年9月に県が飲食店に対する営業時間短縮要請を行った際、協力金の給付対象とならなかった飲食店や飲食店への納入業者などの関連事業者、
タクシー事業者や
自動車運転代行事業者といった、時短要請により間接的に影響を受けた事業者を対象に、1事業者につき一律20万円を給付する八戸市
飲食関連事業者等支援金を実施してまいりました。
今年に入り、
新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が急拡大したことにより、市内においても飲食店などを中心に売上げが減少し、厳しい状況が続いていることから、こうした事業者の事業継続に向けた支援の必要性が高まっております。現在、国におきましては、
新型コロナウイルスにより大きな影響を受けている事業者の事業継続を直接的に支援するための取組として
事業復活支援金の給付を行っております。この支援金は、
新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受け、自らの事業判断によらず、売上げが大きく減少している中小法人や個人事業者を対象に、令和3年11月から本年3月までのいずれかの月の売上高が平成30年11月から令和3年3月までの期間の任意の同月との比較で30%以上減少していることを要件として、事業規模に応じ、中小法人には最大250万円、個人事業者には最大50万円を給付するものであります。
また、この支援金は、対象となる地域や業種を限定しないほか、令和2年度に国が実施した持続化給付金よりも給付要件が緩和され、対象者が市独自の第3次支援金と同様となることから、要件に該当する市内事業者の皆様には、まずはこの支援金を積極的に活用していただきたいと考えております。
昨日までの答弁でもお答えしましたとおり、市といたしましては、市内には国の
申請サポート会場が設置されていないことから、支援金の申請を円滑に行っていただくため、独自に電子申請の方法が分からない方や難しい方の申請をサポートする体制づくりを検討しているところであります。
次に、3、水産行政の振興についての(1)サーモンの養殖事業についてお答え申し上げます。
八戸港の水揚げ数量は、昭和63年の82万トンを最高に、海外漁場の規制や資源状況の悪化等により年々減少を続け、令和3年はピーク時の5%、4万4000トンにまで減少しております。そのような状況の中、安定供給が可能なつくり育てる漁業、特に養殖漁業への重要性が当市においても大変高まってきているものと認識しております。
養殖漁業は海面養殖と陸上養殖という大きく2つの種類に分けられますが、八戸沿岸は外海に面していることから波が高く、適した静穏域が少ないことや比較的波の穏やかな八戸港内においても大型船舶の往来等が多く、港則法等により漁労行為が制限されるなど、当市では海面養殖が難しいと言われております。過去には、昭和62年から平成元年にかけて、当時の八戸漁業協同組合連合会が事業主体となり、八戸海域においてサケ類の海面養殖の試験事業が行われましたが、波浪の影響や夏場の高水温により種苗が確保できず、試験が終了したといった事例もありました。
しかしながら、近年における世界的なサーモン需要拡大の傾向や新たな技術の開発は、養殖生産の拡大を後押ししており、県内外において、地元漁協だけではなく、民間事業者が参入する形での事業化が注目されております。当市におきましても、つくり育てる漁業については、水産アカデミーでの主要テーマとして調査研究を進め、市内外の事業者、研究者と連携しながら検討してまいります。
次に、水産大学の誘致についてお答え申し上げます。
水産資源の減少や気候変動の影響など、水産業を取り巻く課題解決に向けては、水産学を専門とする研究機関との連携は重要であると考えております。当市では水産業再興に向けた施策の一つとして水産アカデミーの設置を進めておりますが、水産アカデミーでは、
当市の水産業の発展に向け、課題や未来のビジョンを考え、検討することを主な目的として設置したいと考えており、そのためには水産業に関連する様々な知見を有した専門家や研究者の招聘が不可欠であります。
研究者等の招聘に当たりましては、水産大学の誘致も一つの手法ではありますが、誘致には大学側との条件面での折り合いなど、一朝一夕にはいかないものと考えられます。他都市で行われている水産大学との連携方法といたしましては、学生が通学するキャンパスではなく、研究拠点を置き、地域と大学との連携を推進する気仙沼市と東京海洋大学の事例などがあります。水産アカデミーにおきましては、水産業に関連する多様なテーマについて、専門家や研究者も交えて活発な議論を行いたいと考えており、水産大学のほか、地元の高等教育、研究機関との連携を進めてまいります。
私からは以上でございます。
〔市長熊谷雄一君降壇〕
○議長(森園秀一 君)健康部長
◎健康部長(佐々木勝弘 君)私からは、県に対する
まん延防止等重点措置の要望についてお答えを申し上げます。
まん延防止等重点措置は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある区域の感染症の蔓延を防止するための措置であります。国が集中的に措置を実施する必要があると認める際に、実施期間、対象都道府県を決定し、都道府県知事が感染状況等を考慮して、市区町村の区域を定め、飲食店に対する営業時間の変更等を要請できるものであります。
県内では、1月中旬以降に、これまでにないスピードで
新型コロナウイルスの陽性者が増加し、特に弘前市においては飲食に関連するクラスターが多数発生するなど、県内で突出して感染が拡大しておりました。このような中、1月27日から青森県に
まん延防止等重点措置が適用され、弘前を措置区域とした飲食店への営業時間短縮の要請などが実施されております。また、2月1日には、感染が急速に拡大した青森市が県に対して措置の適用要請を行いましたが、同市では学校や保育施設を中心にクラスターが発生しており、飲食店の営業時間短縮は感染拡大の防止に効果的ではないとの判断から、実施区域への追加が見送られたところでございます。
当市におきましても、学校、教育・保育施設、高齢者施設などでクラスターの発生が多く、飲食店が関わるクラスターは発生していないことから、現段階では県に対して
まん延防止等重点措置の適用要請を行う考えはありませんが、今後も感染状況を注視し、県とも協議しながら必要な感染防止対策を講じてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)財政部長
◎財政部長(品田雄智 君)続きまして、
インボイス制度導入の中止についてお答えを申し上げます。
インボイス制度とは、令和元年10月、消費税に8%の軽減税率が導入され、複数税率となったことに伴い、仕入れ税額控除を適正に行うため、いわゆるインボイスと呼ばれる適用税率や消費税額等を明記した適格請求書の発行と保存が義務づけられた制度であり、令和5年10月に導入が予定されているものです。
なお、インボイス――適格請求書を発行できるのは税務署に登録した事業者のみであり、その登録申請の受付が令和3年10月1日から開始されたところです。この制度の導入によって正確な適用税率を確認することができるほか、事業者間の取引における消費税額をより明確に把握し、取引の透明性を高め、不正やミスを防ぎ、適正かつ公平な課税が図られることが期待されております。
その反面、議員御指摘のように、売上高1000万円以下で消費税の納付義務がない免税事業者はインボイスを発行することができず、取引相手が減少するおそれがあるほか、インボイスを発行するため、売上高にかかわらず、課税事業者となる必要があるなど、一部の事業者にとって負担が増えることが予想されております。
しかしながら、制度の導入が消費税の適正かつ公平な課税を目的としたものであることから、市といたしましては制度の導入はやむを得ないものと考えており、事業者等に理解されるよう広く周知に努めてまいります。
私からは以上でございます。
○議長(森園秀一 君)教育部長
◎教育部長(石亀純悦 君)私からは、発言事項2の(1)と(2)のア、イについてお答え申し上げます。
初めに、学校給食の無償化についてですが、学校給食事業の実施に当たり、学校給食特別会計に年間約20億円を計上しておりますが、学校給食法により、給食センター施設の維持管理費及び運営費は施設の設置者である市の負担、それ以外の経費として食材料費は保護者の負担とされております。そのうち、市が負担している施設の維持管理費等は年間約10億円となっており、ほぼ全額が一般会計からの繰入れとなっております。また、保護者に負担していただいている学校給食費について完全無償化する場合には、当市においては新たに年間約9億5000万円の負担となり、第3子以降のみの無償化の場合は年間約9000万円の負担と試算しています。
市教育委員会といたしましては、限られた財源の中で優先順位を勘案しながら各事業を行っているところでありますが、学校給食費の無償化については現時点で国の財政支援策が示されておらず、これまで以上に財政負担が増大することから、今後も国の動向を注視しながら研究してまいります。
次に、就学援助の所得制限の拡充についてお答え申し上げます。
就学援助制度は、経済的な理由で小中学校の就学費用の支払いが困難な家庭に対して、給食費や学用品費などの一部を援助する制度であります。
就学援助制度の認定に係る所得基準額の要件につきましては、県内の多くの自治体が撤廃し、対象範囲を縮小している中、当市は認定要件として引き続き設けております。また、所得基準額の算定の基礎となる生活保護基準につきましては、国は平成25年8月以降段階的に基準を引き下げておりますが、当市は引き続き平成24年の基準を維持することで、県内では比較的高い所得基準額となっており、より多くの家庭を就学援助の対象としております。
市教育委員会といたしましては、今後も市の財政状況を勘案しながら、義務教育の円滑な実施が図られるよう
就学援助制度の適切な運用に努めてまいります。
次に、就学援助の申請書の取扱いについてお答え申し上げます。
当市では、従前より、学校から希望者に申請書を配付する方式を取っております。希望者に申請書を配付する方式は、制度の概要や申請書の記入方法についての質問に対し、各学校の担当者が細やかに対応できる利点があります。周知方法につきましては、小学校入学予定者には、就学通知書の送付の際に制度の案内を同封しているほか、就学時健康診断や入学者説明会の際にも案内を配付しております。
さらに、在校生には、毎年、学校から全児童生徒に案内を複数回配付しております。そのほか、市ホームページに制度の概要を掲載し、現に困っている世帯が制度を利用できるよう積極的に周知しております。また、申請書の提出の際には、各学校において、書類が他の児童生徒の目に触れないよう封筒に入れて回収するなど、申請者のプライバシーに配慮しております。
市教育委員会といたしましては、今後も対象者が制度を申請しやすいよう、申請者及び各学校の意見を踏まえながら申請方法等について研究してまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)福祉部長
◎福祉部長(池田和彦 君)次に、発達障がい児に関する専門大学等と連携した学習支援についてお答え申し上げます。
市では、保育所等における保育内容を向上させるため、市内保育所等の保育従事者への研修を委託事業により実施しております。また、国や県、各種団体でも様々な研修等を実施しており、市ではそれらの研修等の開催に関する情報を保育所等へ周知し、各保育所等では必要に応じて保育士等の職員に受講させております。実施されている研修は発達障がい等支援を必要とする幼児への教育も含め多岐にわたっており、受講によって得た知識が子どもたちに提供される教育や保育の質の維持向上につながっているものと考えております。
議員御提案の大学等との連携による保育士研修を発達障がい児の学習支援につなげる取組については、市の幼児教育の質の向上につながる選択肢の一つとして、他都市の事例を参考にしながら研究してまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)教育部長
◎教育部長(石亀純悦 君)再度私から、タブレットを活用した支援についてお答え申し上げます。
文部科学省が掲げる
GIGAスクール構想の実現に向け、当市においては、1人1台端末と高速大容量ネットワークを令和2年11月に整備し、現在各校における活用が進んでいる状況であります。主な活用の例としては、教科書に掲載されているQRコードを読み取って音声や動画等の情報を収集したり、大型ディスプレーに大きく画面を提示し、互いの考えを共有したりすることが挙げられます。
特別な配慮を要する児童生徒の学習支援においても1人1台端末の活用が進められております。例えば集団参加が苦手な児童生徒については、授業や行事等をオンラインで配信し、心理的な負担を軽減しつつ、無理なく参加できる工夫がされております。また、学習につまずきのある児童生徒が苦手なところを補うためにデジタルドリル教材を活用し、難易度を自分で選択したり、繰り返し練習したりする取組も報告されております。さらに、音声の読み上げやルビを振る機能等がある学習者用デジタル教科書の導入も始まっております。しかしながら、1人1台端末の活用は始まったばかりで、一人一人の特性に応じた活用の仕方については現在も試行錯誤しているところであり、引き続き研究が必要と考えております。
市教育委員会といたしましては、今後も特別な配慮を要する児童生徒を含め、1人1台端末を効果的に活用できるように、各校での実践や先進的な取組を紹介し、児童生徒のよりよい学びにつながるよう各校の支援に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)総務部長
◎総務部長(石田慎一郎 君)それでは続きまして、
会計年度任用職員の賃金の引上げについてお答えを申し上げます。
まず、
会計年度任用職員の給与決定に当たっては、一般職の常勤職員と同様、地方公務員法に定める職務給の原則等の考えに基づき決定するべきという方針が国から示されております。これを受けて、当市も国の方針を基本として給与の決定や期末手当の支給等を行っており、また、任用する際は、
会計年度任用職員の経験年数に応じた上位の号給に決定するなど、任用時における賃金の調整を行ってまいりました。さらには、制度発足後、育児休業や介護休暇等を取得可能としたほか、産前・産後休暇の有給化など、待遇改善にも取り組んできたところでございます。
議員御提案の
会計年度任用職員の賃金の引上げにつきましては、正職員と職務の内容や職責等が異なる部分もあることから、職務給の原則等も踏まえれば難しいものと考えておりますが、今後も必要に応じて待遇改善について検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
○議長(森園秀一 君)
久保しょう議員
◆8番(久保しょう 君)それでは、2点について再質問させていただきます。
1点目は就学援助の立場からですけれども、学校給食の援助の拡大について再質問します。
世田谷区などでは、給食費のみの就学援助の対象世帯を、4人家族で年収約760万円まで広げて、子育て世代から歓迎されていると伺っています。市としても就学援助の立場から所得制限を拡充する考えはないか再質問します。
2点目は、水産行政の振興の重大課題としての第三魚市場荷さばき所A棟の利用稼働率の課題でありますが、仮に改善計画が達成できない場合のA棟の稼働停止などの判断についてはいつ頃をめどにしているのか再質問します
以上2点、お願いします。
○議長(森園秀一 君)教育部長
◎教育部長(石亀純悦 君)私からは、学校給食費の援助の拡大についての御質問にお答え申し上げます。
学校給食費などの一部の費目に新たな認定区分を設け、対象者を拡充している自治体があることは承知しております。所得制限を拡充するためには、財政負担はもとより、申請受付や審査等に係る業務量等の増加も見込まれることから、他自治体の事例等を調査するとともに、当市の財政状況も勘案しながら研究してまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)市長
◎市長(熊谷雄一 君)久保議員のサーモンの養殖事業、水産大学の誘致の質問をいただきましたけれども、それに関連して水産業全体の問題の中でのA棟の稼働についての再質問と受け止めさせていただきます。
A棟の問題につきましては、様々な理由によって稼働していないということはもちろん認識をいたしておりますし、水産業全体の中で在り方を考えていかなければならないと思っております。議員御存じのとおり、現在2回目の改善計画に取り組んでいるところですので、この改善計画は市だけではなくて、国や県とも協議を重ねてきた計画でありまして、私は大変重いものだと認識いたしております。
市といたしましては、現在2回目の改善計画中であることから、業界
関係者の方々とも連携をして、引き続き目標達成に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○議長(森園秀一 君)
久保しょう議員
◆8番(久保しょう 君)時間がないので、再々質問のほうだけまずしゃべって、要望させていただきたいと思います。
先ほどもA棟については、本来であれば決断についてお答えいただければいいと思っていたのですけれども、お答えがないものですから再々質問させていただきますけれども、A棟の稼働については前小林市長が決断をして実行してきた事業であります。今このとき、熊谷市長が稼働の中止を決断することができる絶好のチャンスだと思っております。3年後のキャスティングボートを握っているのも熊谷市長です。3年後、達成できない場合は中止をする。それを今、決断すべきではないかということを質問して、再々質問とさせていただきます。
要望させていただきます。要望、意見の1つ目は、県のほうで市町村が緊急的に行う
新型コロナウイルスの感染防止対策、地域経済のための取組ということで、30億円の補助をすると報道されていますが、その補助金の市の配分金額を使って、市独自の支援金に活用することを強く要望したいと思っています。また、先ほど言った
事業復活支援金、もちろんこちらについては、市のほうでサポートセンターを用意してくれるということで大変喜ばれています。いち早く設置していただいて、業者の方が利用できるようにしていただきたいと思います。
発達障がいの関係ですと、やはり先ほど言ったように障がい児を抱えている家族からすれば、大変将来が不安だというのが現状ではないでしょうか。そのためにも、ぜひとも学習支援を受けることができるための専門的な知識を踏まえて、さらには、IT、タブレットを使っての学習支援につなげていただければと思っています。
以上、再質問をよろしくお願いします。
○議長(森園秀一 君)市長
◎市長(熊谷雄一 君)久保議員の再々質問でございます。
3年後のキャスティングボートを握っているということでございましたけれども、いろいろな提言は真摯に受け止めさせていただきますけれども、水産業全体の在り方の中で結論を出していきたいと考えておりまして、今は改善計画を進めております。したがって、現段階におきましては稼働停止ということについては考えておりません。
以上です。
○議長(森園秀一 君)以上で8番
久保しょう議員の質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前10時45分 休憩
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午前11時00分 再開
○副議長(三浦博司 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
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3番 高橋正人君質問
○副議長(三浦博司 君)3番高橋正人議員の質問を許します。高橋正人議員
〔3番高橋正人君登壇〕(拍手)
◆3番(高橋正人 君)公明党の高橋正人でございます。令和4年3月定例会に当たり、公明党の一員として、市長並びに理事者各位に御質問をいたします。
初めに発言事項1、こどもの国大型複合遊具設置事業について御質問をいたします。
この質問は、多くの子育て世代から大型複合遊具の設置を求める声を受け、令和2年12月定例会の一般質問において設置を求めてきたところであります。そして、今般策定された未来共創推進戦略2022案において、子どもの多様なニーズに応じた遊び憩える場の整備として、当該事業が末来を創る子どもファースト推進プロジェクトの重点事業パッケージに掲げられました。子育て世代の一人として、熊谷市長の御英断に深く感謝を申し上げますとともに、事業完成後はこどもの国がこれまで以上に市内外から多くの親子連れでにぎわう場となることを期待するものであります。
さて、1959年の児童権利宣言第7条において、児童は、遊戯及びレクリエーションのための十分な機会を与えられる権利を有する。その遊戯及びレクリエーションは、教育と同じような目的に向けられなければならない。社会及び公の機関は、この権利の享有を促進するために努力しなければならないと宣言されているとおり、子どもの遊びの重要性はかねてから認められてきました。そして、この宣言は子どもの権利条約第31条の規定によってさらに強化されたわけであります。
一方、我が国においては、1994年、当該条約に批准をしましたが、その際、子どもの権利を総合的に保障する国内法の整備は行われませんでした。そのため、我が国は、児童福祉法、母子保健法、教育基本法、児童虐待防止法など子どもに関する様々な個別法はあるものの、子どもを権利の主体として位置づけ、その権利を保障する総合的な法律は存在していません。年々、子どもを取り巻く環境が悪化していることを受け、現在、子どもの権利を包括的に定める子ども基本法の制定を強く求める声がある一方、制定に慎重な姿勢を示す声もあり、国では子ども基本法の制定に関する議論が活発化しています。
民間企業の調査によると、子どもの権利条約を内容までよく知っていると答えたのは、子どもが8.9%で大人にあっては2.2%にすぎず、聞いたことがないと回答したのは、子どもが31.5%で大人は42.9%と子どもの権利があまり認識されていないのが現状であります。
そのような中、近年では、公園で遊ぶ子どもの元気な声が騒音に捉えられ、また、ボール遊びは、安全管理上の問題から禁止する公園が増えるなど、遊びが制約され、外遊びの楽しみが失われつつあります。加えて、生活環境の変化等も相まって、子どもの外遊びの時間は減少しています。さらに、追い打ちをかけるように
新型コロナウイルス感染症の影響で、小中学生の外遊びの時間は2019年に比べ4割も減少したことが近視予防フォーラムの調査結果で示されており、子どもの外遊び離れが深刻な状況になっていることがうかがえます。
当市においても、子どもの外遊び離れは深刻化しているように感じます。しかし、子育て世代の保護者にとって、遊びが子どもの権利であるという認識はさておき、遊びを通じて子どもや家族で楽しめる場のニーズは高い状況にあります。当市では子ども・子育て支援事業計画の策定に当たり、子育て家庭ニーズの動向分析や子育て支援における課題整理等を目的としたニーズ調査を実施しています。この調査によると、子どもと外出する際に困ること、困ったことでは、平成26年の調査で、雨や雪の日に遊べる場所が少ないが最も多く、次いで日中の子どもの遊び場が少ないの順になっています。また、平成31年の調査においても同項目はほぼ同じ割合となっており、従前から遊び場の不足が課題として挙げられてきたことが分かります。
さらに、八戸市緑の基本計画の見直しに伴う住民アンケート調査においても、遊具の多い家族で楽しめる公園を増やすに対する回答は多く、前回調査の回答と比較しても多くなっています。その上で、こどもの国大型複合遊具設置事業は、市民のニーズに応え、かつ子どもの外遊びへの関心が高まり、外遊びの時間を増やす効果も期待されます。
全国の自治体の中には、子どもの遊び場に関する基本条例を制定し、自治体や地域住民が、子どもが外で伸び伸びと遊ぶことができる環境づくりを推進している自治体や、また、運動遊びをする時間の目安や遊び方を紹介する運動遊びプログラムを策定し、体を動かして遊ぶ時間の確保や運動に対する意識の向上に向けて取組を推進している自治体もあります。遊びは、子どもの学びや心身の成長に極めて重要な役割を担うとともに、社会で活躍する上で、今後ますます必要となる能力の育成にも大きく寄与するものであると考えます。
そこで、質問の1点目として、こどもの国大型複合遊具設置事業に当たり、子どもの遊びの重要性をどのように認識されているのか、お伺いいたします。
次に、公園は150年の歴史があると言われています。公園の始まりは国主導によって行われ、公園の数や面積の確保など、量を重視して整備されてきました。量の整備が進められる一方で、公園の整備や維持管理の主体は国から地方自治体に移り、地域の特性や課題などを反映するため、複合遊具や健康器具など質の整備が求められるようになっていきました。そして、現在は、公園の維持管理等による自治体の財政負担や住民のライフスタイルや価値観の多様化による社会情勢の変化を受けて、既存の公園の効果をより高めるため、民間の力を積極的に活用し、公園の個性をつくり出していくことが求められています。
そのような中で、公園施設は、ここ数年前から、どこでも、誰でも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの視点を取り入れたインクルーシブ化への注目が急速に高まっています。インクルーシブ公園は東京都世田谷区の砧公園に初めて誕生し、豊島区のとしまキッズパークや神奈川県の秋葉台公園などにもオープンしています。また、東北では、昨年の夏、岩手県宮古市のうみどり公園に初めて誕生しました。インクルーシブ公園は、あらゆる個性や背景を持つ子どもたちが同じ空間で交ざり合って遊ぶことで、多様性の理解や共生社会の推進が図られることを理念としています。当市においても、このような視点を取り入れた大型複合遊具設置事業をぜひ進めていただきたいと思います。
そこで、質問の2点目として当該事業のコンセプトについて、質問の3点目として当該事業の具体的な計画についてお伺いいたします。
次に発言事項2、学校施設開放事業について御質問いたします。
初めに、未開放施設の利用促進についてでありますが、学校の施設開放については、これまで議会においても幾度か問題提起されてきたところであります。現在、市民が活動している団体には、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、卓球などのスポーツ団体のほかに、バトン、社交ダンス、子ども会、町内会活動等、多岐にわたっており、学校施設開放事業は多くの市民、団体に利用されています。
しかし、その一方で、団体数の増加や特定団体の継続利用のほか、ここ数年前から、小学校スポーツ活動が教員主体から保護者や地域主体に移行したことに伴い、練習の時間帯が通常16時から18時までのところ、指導者が練習に参加できる時間帯に合わせ、夜の時間帯に活動する団体も増えてきており、そのような団体も施設開放に参入するようになってきたことで施設利用の競合が激化していると伺っています。また、当市の多目的屋内スポーツ施設についても、時期や時間帯によっては活動場所の確保を求めて予約が殺到し、予約が取れないといった声もあることから、特にスポーツ団体における活動場所の確保問題が深刻化しています。
スポーツは世界共通の人類の文化であるとし、スポーツ基本法の前文において、スポーツは、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、おのおの関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならないと記されています。その上で、国民の生涯にわたる豊かなスポーツライフを支えるための施設として、学校施設はその基盤となるものであります。
スポーツ基本法第13条では、学校の設置者は、その設置する学校の教育に支障のない限り、当該学校のスポーツ施設を一般のスポーツのための利用に供するよう努めなければならない旨が規定されています。そのほかにも、学校教育法や社会教育法、学校体育施設開放事業の推進についての通知など、いずれも学校施設を一般のスポーツ利用や社会教育など公共的な利用に供することを述べており、各自治体では、これらを基に学校施設開放に関する条例等を制定し、実施に取り組んでいるところであります。
スポーツ庁の体育・スポーツ施設現況調査によると、我が国の学校体育施設は平成30年10月1日現在で3万1546か所あり、そのうち約9割が地域に開放されており、積極的な活用が図られています。そのような中、当市でも、八戸市立小学校及び中学校の施設の開放に関する規則に基づき、かねてから学校施設開放事業の推進に取り組んできており、市民の認知度も高く、日常的に市民に利用されていますが、一部では施設開放を行っていない学校もあると伺っています。スポーツ施設のストック適正化ガイドラインでは、ストック適正化の検討に当たっては、既存ストックである学校体育施設の活用を同時に検討すべきである。特に、地域住民が日頃の運動のために利用する施設については学校施設の開放による対応を積極的に図っていくことが望ましいという方向性が打ち出されています。
加えて、国は、自治体の体育・スポーツ施設が老朽化や財政状況の悪化等の中で、安全な施設の提供が困難になることを想定し、今後、持続可能な地域スポーツ環境を確保するため、学校体育施設の活用を一層進めることが重要であると指摘しています。当市の人口は減少傾向にありますが、施設利用者は年々増加しています。そのような中、スポーツ団体にとって、学校施設開放はその活動に欠かせない場となっており、現状の課題を踏まえると、より多くの市民に活動の場が提供されるためには、未開放施設の利用促進を図ることが必要であると考えます。
そこで、学校施設開放事業の目的と利用状況について、併せて未開放施設について、開放していない理由と今後未開放施設を開放するお考えはないかお伺いいたします。
次に、廃校施設の利活用についてでありますが、文部科学省によると、全国的な少子化により、毎年約470校の廃校が発生しており、そのうち約75%の廃校施設が社会体育施設、社会教育施設、企業や法人等の施設、また、体験交流施設などとして活用されています。スポーツ基本計画の施策には、既存施設の有効活用やオープンスペース等のスポーツ施設以外のスポーツができる場の創出を含め、ストックの適正化と安全で多様なスポーツ環境の持続的な確保が掲げられており、廃校活用に向けた取組として、文部科学省は2010年に未来につなごう、みんなの廃校プロジェクトを立ち上げ、自治体のホームページ上に廃校の情報を掲載したり、自治体と活用希望団体とのマッチングイベントの開催や廃校活用事例集の発行など廃校の利用促進を図ってきたところであります。こうした取組の効果もあり、活用されている廃校数は増加傾向にあるようであります。
その中で、現在活用されている廃校約5000校のうち、3割に当たる約1600校は社会体育施設として活用されており、スポーツ文化を支える貴重な社会資源になっています。一方で、今後も廃校施設の増加が見込まれる中、老朽化に伴う取壊しや修繕に係る費用、維持管理経費といった自治体の財政負担の増大なども課題として残されています。
そのような中、当市では番屋小学校や松館小学校など廃校7施設を様々な用途に活用しており、スポーツ団体も活動の場として利用していると聞いております。
そこで、スポーツ団体における廃校施設の利用状況と廃校施設の施錠等の管理、年間の維持管理費についてお伺いいたします。
以上でこの場からの質問を終わります。
〔3番高橋正人君降壇〕(拍手)
○副議長(三浦博司 君)市長
〔市長熊谷雄一君登壇〕
◎市長(熊谷雄一 君)高橋正人議員にお答え申し上げます。
まず、こどもの国大型複合遊具設置事業に当たり、子どもの遊びの重要性についての御質問ですが、国土交通省の都市公園における遊具の安全確保に関する指針では、子どもの遊びの重要性について、子どもは、遊びを通して自らの限界に挑戦し、身体的、精神的、社会的な面などが成長するものであり、また、集団の遊びの中での自分の役割を確認するなどのほか、遊びを通して、自らの創造性や主体性を向上させてゆくものと考えられる。このように、遊びは、全ての子どもの成長にとって必要不可欠なものであるとされております。さらに、子どもの遊びと遊具につきましては、遊具は、多様な遊びの機会を提供し、子どもの遊びを促進させる。このように遊具は、子どもにとって魅力的であるばかりかその成長に役立つものでもある。また、子どもは、様々な遊び方を思いつくものであり、遊具を本来の目的とは異なる遊びに用いることもあると記載されております。
また、議員からも発言ございましたが、現在改定作業中の八戸市緑の基本計画におけるアンケート調査結果によると、遊具が多く、家族で楽しめる子どもの遊び場のニーズが高い状況にあります。
以上のことから、子どもたちにとりまして、遊びや遊び場は重要であり、ひいては家庭ではできない多様な動きも体験でき、子どもたちの成長をサポートできるような遊び場、施設は必要であると考えております。
これまで当市では、子どもの遊び場や住民の憩いの場として約300の公園を整備してまいりました。公園は子どもの遊びの心を育むことができる重要な施設と考えますことから、今後も施設の充実を図ってまいります。
次に、コンセプトについてお答え申し上げます。
当市におきましては、子どもの遊び場や住民の憩いの場として、これまで約300の公園を整備してまいりました。その中でもこどもの国は、子どもから大人まで一日中楽しく遊べる場として、また、災害時の広域避難場所や都市緑化推進の情報発信基地としての役割を担うなど、市民の生活環境への関心や余暇増大等に伴う多様なニーズに対応した八戸圏域を代表する公園として昭和56年から整備を進めてきております。また、こどもの国は、県内でも遊園地のある唯一の公園であり、市民はもとより、広く県内外からも多くの方が訪れる非常に人気のある公園となっており、当市の魅力発信に大いに貢献しております。
このたび既存施設である遊園地と併せ、当公園のさらなる魅力が向上するよう大型複合遊具設置を計画したところであります。議員御質問の当遊具のコンセプトにつきましては、子どもファーストの視点に立ち、子どもの多様なニーズに応じた遊び憩いの場として、年齢や体力、障がいの有無にかかわらず、全ての子どもが楽しく遊ぶことができるインクルーシブの考えを取り入れた空間を整備してまいりたいと考えております。
次に、具体的な計画についてお答え申し上げます。
整備構想といたしましては、遊園地ゾーンに隣接した多目的芝生広場側にインクルーシブの考えを取り入れたゾーンとアクティブなゾーンの整備を考えており、比較的大規模な施設となるため、複数年にわたり、段階的な整備を想定しております。
整備構想における各ゾーンの考え方についてですが、インクルーシブゾーンには、その考えを取り入れた大型複合遊具や単体遊具、その他ゴムチップ舗装などを一体的に整備してまいりたいと考えております。ここでの大型複合遊具の特徴は、色覚障がいのある子どもにも情報がきちんと伝わるよう、色遣いに配慮したカラーリングであったり、車椅子に乗ったまま遊具にアクセスできるスロープを配置したり、指先を使う遊びや目で変化を楽しむ遊びを盛り込み、聴覚障がいのある子どもも楽しめるよう配慮したものにいたします。
単体遊具としては、着座姿勢を保てない子どもが遊ぶことができるように、安全ベルトがついているブランコであったり、跳ねたり、滑ったり、寝そべったりできるドーム状のクッション遊具などを考えております。また、車椅子でも円滑に移動ができるようにゴムチップ舗装を施し、障害となる段差等も排除することを考えております。アクティブゾーンにおきましては、怖そうだけど挑戦してみたいという子どもたちの好奇心をくすぐるような、よりアクティブな遊具施設の整備を考えております。
ここでの大型複合遊具の特徴といたしましては、高さがあり、子どもたちに人気のあるローラースライダーやらせん状のトンネルの中を一気に滑り降りる滑り台を兼ね備えたものを考えております。単体遊具といたしましては、活発な子どもも満足できる遊具であるターザンロープや比較的高さのあるタワー型のネット遊具等を考えております。令和4年度につきましては、アクティブゾーン及びインクルーシブゾーンにおいて大型複合遊具の部分的な設置を予定しております。
大型複合遊具設置事業に伴う財源についてですが、事業費の半分程度は国の都市公園整備補助金を活用しており、次年度以降についても引き続き国の補助金を活用できるよう国へ要望し、整備に取り組んでまいります。
以上でございます。
〔市長熊谷雄一君降壇〕
○副議長(三浦博司 君)高橋正人議員
◆3番(高橋正人 君)詳細に御答弁をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、意見と要望を申し上げます。
初めに、子どもの遊びの重要性について当市のお考えをお示しいただきました。
遊びは子どもの心身の成長に欠かせないものであり、また、子どもの外遊びを核とした地域の取組によって、地域全体で子どもを見守り、子育てを応援する機運の醸成や地域の活性化が図られるといったことも期待される重要な役割を担っていると受け止めております。
しかし、近年は、社会情勢の変化を受けて、遊びも屋外から屋内へ、集団から1人へとその質も変わってきています。近頃は、オンラインゲームの普及により、自宅にいながらオンラインで友達とつながり、ゲームで遊ぶ子どもが増えました。そして、コロナ禍の影響で外出を控えるようになったことで、今では家にいることが当たり前のようになってきています。このような状況が長引いていることで、保護者からは、子どもの精神面や、また、健康面などを心配する声が大きくなってきており、外遊びの重要性が再認識されるようになってきたと感じています。
そのような中で、こどもの国大型複合遊具設置事業は、多様な価値を創出する事業でありますが、子どもの遊びの重要性という観点で捉えれば、子どもたちの外遊び離れを改善する大きなきっかけの一つになると考えております。
今後は、子どもたちの元気な声を再び地域の公園に取り戻せるように、遊びの重要性の認職を地域全体に波及していく必要があると考えます。その上で、当市では300もの公園を整備していますが、なぜニーズ調査では遊び場が少ないと思う方が多いのか。また、コロナ前から外遊びの時間が減少している原因は何か。まずは実態を把握して、こうした課題の背景にあるものを分析しつつ、見える化を図りながら、それを地域住民と共有し、子どもたちが伸び伸びと遊べる環境づくりが各地域で推進されるような対策をぜひ講じていただきたいと思います。
次に、こどもの国大型複合遊具設置事業のコンセプトと具体的な計画についてもお示しをいただきました。
まず、コンセプトにつきましては、子どもファーストの視点に立って、子どもの多様なニーズに応じた遊び憩える場としてインクルーシブの考えを取り入れた空間の整備を検討されているということでございました。また、整備構想におきましては、国の補助金を活用しながら、複数年にわたって段階的に整備を進めることとし、インクルーシブとアクティブそれぞれのゾーンに、あらゆる個性に配慮した遊具や、また、好奇心をかき立てるような遊具が整備されるということでございました。
インクルーシブは、多様性を認め合い、心のバリアフリー化が図られるという点で非常に大切な視点でありますし、インクルーシブ公園というだけでも非常に大きな魅力ではありますが、より広く県内外に当市の魅力を発信していくために、八戸市を象徴するデザインを遊具に取り入れてみてはどうかと思います。ぜひ御検討いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で発言事項1の質問を終わります。
○副議長(三浦博司 君)以上で発言事項1は終わります。
次に、発言事項2について答弁願います。教育部長
◎教育部長(石亀純悦 君)私から、学校施設開放事業についての2点の御質問にお答えいたします。
初めに、未開放施設の利用促進についてですが、学校施設開放事業は、学校教育に支障のない範囲で、地域住民のスポーツ、レクリエーション及び学習文化活動のために学校施設を開放し、地域住民が気軽に学べる環境づくりと地域に開かれた学校づくりに資することを目的として実施しております。
当事業の実施状況についてですが、現在、施設開放している学校数は、小中合わせて全体で66校のうち54校となっております。登録団体数は294団体で、登録人数は4426名であります。施設開放を行っていない学校は、小学校5校、中学校7校の合計12校ですが、開放していない主な理由といたしましては、校舎の構造上、開放場所である体育館と校舎が警備システム面での分離がされておらず、防犯上の運営管理が困難であることなどが挙げられます。
今後は、市民からの要望等の状況を踏まえ、学校
関係者と協議しながら、開放に向けて検討してまいります。
次に、廃校施設の利活用についてお答え申し上げます。
廃校施設のスポーツ団体における利用状況につきましては、令和3年度は、廃校施設7校において、バスケットボールチームや野球クラブチームなど10チームが利用しております。また、災害時の避難所に指定されているほか、選挙の投票所や地元町内会等による地域コミュニティーの場として利用されております。廃校施設の管理につきましては、現在教育委員会が行っており、学校が閉校しても、引き続き地域の拠点として、地域住民を初め市民が必要に応じて利活用できるよう、施錠管理や修繕等の維持管理を行っております。
昨年度の維持管理費は、廃校7施設で約1300万円、1校当たりの平均は約186万円となっており、内訳といたしましては、法定点検や草刈り作業などの委託料のほか、電気、水道などの光熱水費及び修繕料などの経費となっております。廃校利用につきましては、利用団体数も年々増加傾向にあり、市民の関心も高いことから、今後も適切な維持管理に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(三浦博司 君)高橋正人議員
◆3番(高橋正人 君)御答弁をいただきまして、ありがとうございます。意見、要望を申し上げます。
初めに、未開放施設の利用促進についてでありますが、施設開放を行っていない学校は12校あるということでございました。また、その主な理由として、警備システム上、体育館と校舎を分離することができないためということでございました。施設開放は学校教育に支障のない範囲でというのが重要なキーワードであることは周知のとおりであろうかと思います。そのため、児童生徒の安全確保は最優先であり、施設開放を行っていない理由も当然のことと承知いたしました。
スポーツ庁が公表している学校体育施設の有効活用に関する手引きにおいても、有効活用方策の一つとして開放用の入り口を設置するなど、一般利用者と児童生徒の動線を分離する対応が求められています。開放に当たっては、警備システムに係る費用面や担当教員の負担などを考慮した上で開放の可否を検討されるものと思いますが、可能な限り、市民のニーズに応えていただきますように御検討をお願いしたいと思います。
また、同手引きの有効活用方策には、持続可能な仕組みづくりとして、地域の実態に応じ、教育委員会や市長部局による一元的な管理運営などにより、管理事務における学校や教師の負担軽減に配慮することが示されています。以前、ある学校の先生に伺ったところ、施設開放業務は大変負担が大きいとおっしゃっていました。また、施設利用に当たって、学区内の団体の限定が取り除かれたことも踏まえると、窓口を一本化し、業務の合理化を図っていくことが望ましいのではないかと考えています。ぜひその点も御検討いただければと思います。今後も引き続き、地域に開かれた学校づくりの推進に努めていただきますようお願いを申し上げます。
最後に、廃校施設の利活用についてでありますが、廃校施設は学校施設開放と同様に、地域における豊かなスポーツライフを送る上で重要な役割を担っています。当市においても廃校施設は有効活用されており、スポーツ団体にとっても活動する上で欠かせない施設になっています。しかし、その維持管理費は廃校7施設で年間約1300万円ということでありました。施設開放や公共スポーツ施設を利用したくても利用できない市民がいる中で、廃校施設までもが維持できなくなれば、ますます活動の場が失われてしまうことになります。
つきましては、引き続き廃校施設の維持管理に御努力いただきますようにお願い申し上げます。
最後に、今月末をもって退職されます理事者、職員の皆様に対し、長きにわたり市勢発展のため力を尽くされてきたことに敬意と感謝を申し上げ、私の一般質問を終わります。
○副議長(三浦博司 君)以上で3番高橋正人議員の質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時37分 休憩
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午後1時00分 再開
○議長(森園秀一 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
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14番 上条幸哉君質問
○議長(森園秀一 君)14番上条幸哉議員の質問を許します。上条議員
〔14番上条幸哉君登壇〕(拍手)
◆14番(上条幸哉 君)本定例会最後の一般質問者となります。皆様、お疲れかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
冒頭に若干所見を述べさせていただきます。
北京オリンピックが様々な感動を残し、終了いたしました。その一方で、本大会はオリンピックの歴史に暗い影を落とすものともなりました。オリンピック憲章は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進をうたっておりますが、今回は香港の自由と民主主義を封じ込め、ウイグル等でのジェノサイドという、かつてない人権問題を抱えた中国での開催となったのであります。これに対し、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダなどが政府
関係者を派遣しない外交ボイコットを表明。日本もこれに準ずる対応を決定したわけですが、中国はこれをスポーツの政治利用だと激しく反発。組織委員会は、選手が人権問題について発言した場合、中国の国内法によって処罰されると明言したのであります。結果として、期間中に選手から人権批判が出ることはほとんどなく、それが逆に中国の異常な言論環境を際立たせることになったと言われております。
しかし、そのような状況下、政治的に中立であるべきIOCバッハ会長は習近平指導部に歩み寄った行動を見せ、大会が大成功だったと賛辞を送ったのであります。習指導部はこれを大きなはずみに、秋の党大会で異例の3期目の政権を発足させると言われております。これこそはスポーツの政治利用ではないでしょうか。
昨年9月の
八戸市議会定例会では、ウイグル等での異常な状況に鑑み、中華人民共和国による人権侵害問題の解決に向け日本政府に必要な措置を講ずることを求める意見書が全会一致で採択されました。意見書の文案を各会派に相談させていただいた折、代表者の皆様がひとしく協力を惜しまれなかったことに感動いたしました。ウイグル人団体からは当議会議長宛てに感謝状が届いたといいます。その後、国においても、本年2月に、中国の新疆ウイグル自治区やチベット、香港での人権侵害に懸念を表明する決議を採択されたわけですが、八戸市議会を含めた全国の複数の地方議会での意見書採択が国の決意を後押ししたと報道されており、これは誇るべきことではないでしょうか。
さて、ウクライナの動向が目を離せない状況となっておりますが、昨日の日本経済新聞は、ロシアへの経済制裁に反対している中国が、ロシア産小麦の輸入を拡大し、ロシアの銀行との国際銀行間決済システムを使って人民元決済を拡大する方向であり、これは中国が有事のロシアに貸しをつくることで、中国の台湾統一に備える思惑であると伝えております。また、イギリスのジョンソン首相は、ウクライナの衝撃が東アジアや台湾にも届くだろうとの表現で中国の台湾侵攻の危険性が近づいていると言及しております。実際、ロシアがウクライナに侵攻したその日、中国軍用機9機が台湾防空識別圏に侵入し、台湾軍機がスクランブル出動しております。私たちはウクライナの動向に注意しながらも、すぐ近くに覇権主義国家による民主主義国への侵略の危機が差し迫っていることを忘れてはなりません。
以上申し上げまして、質問に入ってまいります。
熊谷市長が就任されて、私にとっては初めての質問となります。改めまして、お祝いを申し上げ、市民のために大いに御活躍されることを祈念申し上げるものであります。
さて、今回は、あらゆる行政の施策の中で最も重要な項目の一つと考える1点に絞って質問させていただきます。産業都市八戸についてであります。
八戸市あるいは八戸圏域のこれまでの歩みを振り返るとき、その特徴や強さについて様々な論点が浮かび上がってまいりますが、その中でも最大のものが産業都市としての歩みであろうと思います。これまで八戸市を中心とする県南や岩手県北を含めた広域圏に多様な雇用の機会を提供し続けてきたこと、これが八戸の最大の特徴、強さであり、その根は昭和39年の新産業都市指定を契機に、今日まで続く各種産業の集積にあることを度々申し上げてまいりました。市長も12月定例会冒頭の所信表明において、当市が大きく飛躍することになった契機の一つが新産業都市指定にあり、当時は行政のみならず、経済界をはじめとする市民一体となった強力な運動の結果として、新産業都市指定が実現し、都市発展の基盤が築かれてきたと述べられております。新産業都市指定は市民の総力で勝ち取ったものであり、自来、我らがふるさとがどのようなまちであるかを象徴する1つのキーワードとなったのであります。
あれから約60年が過ぎ、新産業都市建設促進法は既に廃止され、産業の基盤整備の必要から存続してきた青森県新産業都市建設事業団も、今年度末で解散の方向であります。大きな時代の節目を迎えた今、時代の変化を捉えつつ、八戸が今後も多様な雇用の機会を提供できる都市であり続けるために、その基となる産業振興に改めて取り組んでいくことが重要であると考えます。
そこで質問でございますが、市長はまちづくりの様々な取組の中で、この産業の重要性、位置づけをどのように認識されるか、御所見を伺います。
質問の2点目は、地元中小事業者への支援についてであります。
市長は産業都市八戸の経済効果を圏域に波及させ、経済の活性化を推進していくために、アフターコロナ時代に向けた八戸市経済再生ビジョンを策定し、地域経済の再生や回復を図るとされております。また、一方で、八戸市中小企業・
小規模企業振興基本条例の制定について本定例会に御提案いただいております。
そこで初めに、コロナ禍にあって苦境にあえぐ地元の中小事業者がこの苦難を乗り越えるために、どのような支援策を進めていかれるお考えか伺います。そしてまた、コロナ後を見据え、地元中小事業者の永続的発展のためにどのように支援されていくか、併せて御所見を伺います。
産業都市八戸に関して、質問の第3は企業誘致の取組についてであります。
企業誘致は、地域の産業のさらなる振興と多様な雇用機会の創出、そして、新たな人材の受入れや人材育成を実現できる産業政策の中でも極めて重要な施策と考えます。
そこで、この企業誘致について市長はどのようにお考えであるか、また、その実現のためには市長によるトップセールスが肝要と考えますが、市長の御所見を伺います。
産業都市八戸に関する質問の最後は、起業支援、創業支援についてであります。
私はこれまで、若い方が起業するまち八戸を目指すべきだと訴えてまいりました。地元で生まれ育った若者たちが起業する喜びを感じ、その様々な取組、挑戦を市民が歓迎し、応援するまちでありたいものだと考えます。この点に関して市長はさきの議会で、起業家が集うプラットフォームを整備し、起業家と接する機会の拡大と学生に対する起業支援を強化することで創業拠点都市八戸を目指すとおっしゃっており、これに共感するところでございます。
そこで質問でありますが、この起業支援について、そのようなカルチャーづくりと情報提供や金融支援等の具体的な策の拡充を目指すべきと考えますが、市長の御所見を伺いまして、この場からの質問を終わります。
〔14番上条幸哉君降壇〕(拍手)
○議長(森園秀一 君)市長
〔市長熊谷雄一君登壇〕
◎市長(熊谷雄一 君)上条議員にお答え申し上げます。
まず、まちづくりにおける産業の重要性についての御質問ですが、当市は、先人たちのたゆみない努力と恵まれた地域資源の有効活用により、まちの基礎を築き、北東北を代表する都市として発展してまいりました。私は、市勢発展の背景には、昭和39年の新産業都市の指定を契機に飛躍した工業をはじめ、全国有数の水揚げ量を誇る水産業や地域の食料供給を担う農畜産業など、多様な産業の集積が大きな推進力としてあったものと認識しており、八戸の未来を切り開いていくためには、産業振興の充実を図ることが重要であると考えております。
そのため、本定例会に提案している第7次八戸市総合計画においても、産業の振興は、政策2、経済を回すとして大きな柱に位置づけており、商工業や水産業、農林畜産業など、全ての産業の基盤強化と経営の高度化を促進するとともに、雇用環境の充実を図ってまいります。
また、当市の産業を取り巻く環境は、
新型コロナウイルス感染症を契機としたデジタル化の進展や、近年の全国的な水産資源の減少による八戸港の水揚げ量の激減など大きく変化しており、北東北の経済と雇用を支える拠点としてさらなる飛躍を遂げるためには、これらの変化に的確に対応していく必要があります。このため、新たに策定した未来共創推進戦略2022の9つの戦略において、産業都市八戸のさらなる経済活性化の推進を展開することとし、地域経済を牽引する産業力の強化プロジェクトとして八戸市経済再生ビジョンの策定や成長産業の集積に向けた企業誘致、創業支援、物流拠点としての基盤、産業インフラの整備を進めてまいります。また、ハマの活力を取り戻す水産業再興プロジェクトとして、水産物のブランド化を推進するとともに、新たに設置する(仮称)八戸水産アカデミーや養殖事業等のつくり育てる漁業の推進に向けた研究会において、水産業の未来を切り開く取組を検討、推進してまいります。
私は、基幹産業の水産業をはじめとした産業の振興は、八戸の発展を支える原動力であると認識しており、長期的な視点によるまちづくりの柱に位置づけた上で、喫緊の課題に対応しながら継続的に取組を推進していくことが肝要であると考えております。産業都市八戸のさらなる発展を目指し、関係機関と連携を図りながら、第7次八戸市総合計画や未来共創推進戦略2022による取組を全力で推進してまいります。
次に、地元中小事業者への支援についてお答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、市内の中小企業が経済的に疲弊していることを踏まえ、消費喚起策として、八戸市商業団体等販売促進支援事業、八戸市プレミアム食事券事業及び八戸市観光おもてなしクーポン事業を実施するため、本定例会において関連経費を新年度予算として計上したところであります。
また、当市の産業及び経済並びに雇用の担い手として重要な役割を果たしてきた中小企業の振興を市政の重要な柱の一つとして位置づけるため、八戸市中小企業・
小規模企業振興基本条例の制定についても提案いたしました。さらに、令和4年度には、
新型コロナウイルスにより大きな影響を受けた本市経済の再生、回復を図るため、八戸市経済再生ビジョンを策定し、中小企業の振興策についても目指すべき方向性を定めたいと考えております。
市内の中小企業の持続的な発展のためには、中小企業自身の創意工夫を引き出すための環境整備が重要であると認識しておりますが、具体的な施策については、基本条例に基づき設置される八戸市中小企業・小規模企業振興会議において中小企業の振興策の在り方について議論をいただきながら、検討してまいりたいと考えております。
次に、企業誘致の取組についてお答えを申し上げます。
当市は、昭和39年の新産業都市指定を契機に、港湾、道路などの産業インフラが整備され、臨海部には、基礎型素材産業、内陸部には加工組立て型産業、中心街にはIT・テレマーケティング関連産業など、多様な産業の立地が進んでおります。これまでの誘致企業の認定件数は124件、令和3年4月1日時点における誘致企業の従業員数は5534人と多くの雇用が創出されております。企業誘致につきましては、雇用の創出や市民所得の向上、地元企業への波及効果、税収の確保など、様々な効果が期待され、第7次八戸市総合計画においても、さらなる産業の集積と雇用機会の創出につながるよう企業誘致の推進を図るとしております。
また、
新型コロナウイルス感染症の拡大等により、地域経済を取り巻く環境が大きく変化しようとしており、将来的な市場の拡大が期待できるデジタル関連産業やヘルスケア産業等の成長産業への地元企業の参入や関連企業の立地を図る必要があると考えております。
企業誘致の取組といたしましては、当市の立地環境等の優位性をPRする企業誘致セミナーの開催や新たな産業集積の基盤となる
八戸北インター第2工業団地の整備を進めるとともに、八戸市企業立地促進条例に基づく各種奨励金等をはじめとする様々な支援制度によって、企業の当市での事業展開をバックアップしてまいります。
当市に企業を誘致するに当たりましては、私自身が当市の魅力をPRするトップセールスも重要であると認識しており、
新型コロナウイルスの影響により、企業誘致セミナーの開催を中止するなど様々な活動が制限される中ではありますが、先月から開催している八戸産業立地オンラインフェア2022において、私から当市の立地環境等について動画でPRしているところであります。
今後、
新型コロナウイルスが収束した際には、首都圏及び中部圏において開催する企業誘致セミナーで当市の立地環境等を私自ら直接PRするほか、当市に立地を考えている企業の方々と直接お会いして信頼関係を築き上げるなど、自身が前面に立った企業誘致に取り組んでまいります。今後とも積極的なトップセールスを展開するとともに、当市の立地優位性を生かした企業誘致を展開し、産業都市八戸のさらなる経済活性化に取り組んでまいります。
次に、起業支援についてお答え申し上げます。
市では、地域の事業所数が減少していく中、新たな需要や雇用を創出する創業・起業者の増加を目的として、平成28年4月に、はちのへ創業・事業承継サポートセンター、通称8サポを開設し、事業の構想段階から創業後のフォローまで、ワンストップの相談対応を実施しており、本年1月末までの創業に関する相談者数は、圏域8市町村全体で734名、このうち228名の方が創業に至っております。8サポでは毎年創業スクールや各種セミナーを開催し、創業を目指す方の支援を行うとともに、8サポ利用者限定のコミュニティーである8サポ創業クラブによる創業者同士の交流会や勉強会を開催することで、創業後のネットワークづくりも行っております。
また、資金面での支援といたしまして、県の融資制度のうち、創業に係るものの利用者に対し、県と連携して信用保証料を全額補助しているほか、日本政策金融公庫の創業に係る融資の利用者に対しては利子の一部補給を実施しております。さらに、
新型コロナウイルス感染症の影響下における新たな創業を後押しするため、市内において新規に会社設立を行う創業者に対し、会社設立に係る登録免許税の一部を補助する八戸市新規会社設立登録免許税補助金を新年度に創設したいと考え、関連経費を新年度予算に計上したところであります。本事業につきましては、八戸市特定創業支援等事業による支援を受け創業し、登録免許税の軽減措置を受けた方に対して、株式会社設立の場合は一律7万5000円、合同会社、合名会社、合資会社を設立する場合は一律3万円を補助するものであります。
次に、若者に対する起業支援につきましては、若者に特化したものではありませんが、平成26年に八戸学院大学と八戸市との産業振興連携協力に関する協定を締結しており、創業支援に関する事項について、連携、協力する体制が構築されております。また、平成27年に国の認定を受けた八戸市創業支援事業計画においても、同大学は連携創業支援等事業者の一つとして位置づけられており、これまでに起業家養成講座や起業支援セミナーを実施していただいております。
市といたしましては、引き続き各創業支援機関と連携しながら、細やかな創業支援に努めるとともに、さらなる創業機運の醸成を図るため、効果的な支援策について検討してまいります。
以上でございます。
〔市長熊谷雄一君降壇〕
○議長(森園秀一 君)上条議員
◆14番(上条幸哉 君)市長、御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。
それでは、幾つか要望と再質問をさせていただきたいと思います。
順序がちょっと後先になるのですけれども、まず2点目の地元中小事業者への支援についてということで、既に様々な準備をしていただいていて、それに加えて、新年度に八戸市中小企業・
小規模企業振興基本条例の制定を提案いただいているということでございますし、あるいは八戸市経済再生ビジョンの策定も始めていかれるということでございました。
答弁の中にも創意工夫を引き出すための環境整備が重要だというお言葉がございましたけれども、全くそのとおりなのだと思います。なかなか厳しい経済環境、あるいはこれに加えて、コロナもございますので、大変な苦難の中に置かれている事業者もいらっしゃるわけですけれども、何といってもこれは乗り越えていかなければいけませんので、そのための環境整備ということで行政としてできるだけ力を尽くしていただく方向で、これからも取組をお願い申し上げたいと思います。
4番目の創業支援、起業支援についてでございます。
若い方々が起業するまち八戸を目指したいというふうに申しました。この後触れますけれども、企業誘致もそうですし、地元の企業振興であるとか、いろいろな産業における取組事項がございますけれども、やはり若い方々が生き生きと元気に、いろいろなチャレンジをしていただけるまちかどうかというのは、これは産業都市としてこれからも生き生きとまちが発展していくために、市民が幸福を享受するためにも極めて重要なポイントであろうと思います。
そういう意味では、御答弁を伺っておりますと、考え方、その方向性は御一緒でいらっしゃると私自身も非常に感じましたので、ぜひお力添えをお願いしたいと思います。
八戸市新規会社設立登録免許税補助金を新年度予算に計上されるということで、これも大変結構だと思います。こういったチャレンジする方々を後押しする制度があるということ、こういったものにチャレンジするようなタイプの方々というのは意外と行政を頼りにしてこなかったりもしますので、ぜひこういった制度も始まるのだというところを上手に発信して、若い方々、あるいは若い方々だけではないのだと思いますけれども、チャレンジする方々を大いに盛り立てて支えてまいりたいと思います。この点もお願い申し上げておきます。
この後、再質問をさせていただきたいと思います。
まず、1点目でございます。まちづくりにおける産業の重要性についてということで、新年度の未来共創推進戦略2022で市長は9つの項目を並べておられて、一番最初は当然ながらコロナ対策ということで、この2つ目に産業都市八戸の更なる経済活性化の推進という項目を上げていただいております。これを読ませていただきますと、やはり産業都市八戸というもの、八戸における産業の重要さというものを市長自身が感じていただいていて、このような組立てをしていただいているのだと感じております。演壇でも申し上げましたけれども、新産業都市という言葉は、やはりこれまでの八戸を象徴する非常に分かりやすい言葉の一つであったと申し上げましたけれども、新産業都市という言葉に代わるといいますか、なかなかこれは難しいところですけれども、市内外に八戸がこういうまちなのだ、特に産業というものを大事にしているまちだ、いろいろな八戸の強みはあるけれども、その根っこにあるのは産業なのだというところをこれからも各方面に発信しながら取り組んでいっていただきたいと考えております。
そこで、新産業都市という言葉に代わる何か、八戸市、産業というものを大事にして、これからもまちづくりをしていくのだというところを象徴するような言葉を1つ、市長は思い当たるところがないか、これが再質問の一つでございます。急ですけれども、何かありましたら、ぜひお願いいたしたいと思います。
質問のもう一つは、企業誘致の取組についてでございます。
市長が自ら動画でのPRをしておられるということで、私も拝見するのが楽しみです。企業誘致に関しては、市職員の先輩方であるとか、歴代の市長等も含めて本当によく頑張ってきていただいた項目だと認識しております。私、これをここで取り上げるというのはちょっと恐縮だったのですけれども、改めて企業誘致というものは今どういうものなのか、私なりに勉強してみました。詳しい専門の先生にもちょっとヒアリングさせていただいたのですけれども、基本的に企業立地というのは、全国的に立地件数が平成元年から平成2年あたりをピークにして減少傾向にあるということでございます。非常に厳しい言い方をしている方は、もう企業誘致に取り組む時代は終わったのだというような言い方をされている方もいらっしゃるのです。何が課題かということは、全国的、全体的な観点で、八戸がどうこうということではないのですけれども、全国的な課題として2点挙がるということなのです。1点目は、明確な戦略性や独自性が不足している。2点目は、企業進出後のフォローが不足している。おいでくださいと招きはするのですけれども、その後のフォローがなかなか十分ではないのだ。大きくこの2点が挙げられるということでございます。
また、国内の工場立地における地域の選定理由はどういうものかを伺いますと、4点あるということで、1つは用地面積の確保が容易だということ。欲しい土地が容易に確保できるということです。2つ目が本社への近接性、本社に近いということです。これは我がほうにとってはなかなか制約が出てくるのではないかと思います。
次は市場への近接性、マーケットが近い、市場が近いということだそうです。最後が関連企業への近接性、関連企業が近くにいるかどうかということなのですけれども、市場への近接性というのは、かつてはこれが高かったそうですけれども、今は低下してきているということで、今最も高いのは最後に申し上げた関連企業への近接性。関連する企業がその地域にあるかどうかということが1つ大きなポイントだということでございます。
これらを踏まえて、しからば、今後、企業誘致にどのように取り組んでいく必要があるかというと、4点あるということなのです。1点目は、先ほども申し上げましたけれども、戦略が必要だということで、地域の強みや弱みを分析しながら、ターゲティングというのでしょうか、選択、集中によって業種を絞り込む。さらに言うと、場合によっては相手の企業まで絞り込んで、ダイレクトに、直接そちらにアタックしていくようなターゲティング、選択、集中が求められるということでございます。先ほどの答弁の中で、例えばデジタル関連産業であるとか、ヘルス産業であるとか、成長が見込めるものについてアプローチをしていくのだというような御答弁がございましたけれども、これは結構なことだと思います。
2点目は的確なニーズの把握です。いろいろな企業側のニーズがあるのだということです。例えば土地所有に関するスタンスも企業によって異なるということです。小口化した小さめの分譲を希望する場合もあれば、賃貸を希望するケースもある。あるいは、場合によっては、一定期間、無償で貸与するというようなこともその方法としてあるのではないかということでございます。
参考までに、市内のある企業が工業団地に立地をしようとしたときに、なかなか広い道路がなかったということで、そこは大きな車を扱っている会社なのですけれども、広い道路が必要だったということで、土地としては十分だけれども、広い道路がなくて断念したというケースもあるということでございました。ということで、そのような的確なニーズ、どこに問題があるのか、ニーズがあるのかをしっかりと拾っていく必要があるということでございます。
3つ目は、先ほどもありましたけれども、誘致後のアフターケア、アフターフォローが必要だということです。誘致後の企業に対する情報提供であったり、地元企業との連携を支援するといった取組が必要になってくるということ。
最後になりますけれども、関係自治体、近隣市町村や県との連携が必要だということでございます。市として単体で取り組むのではなくて、近隣の町村と連携をしながら、あるいは県とも連携しながら、それぞれの強みを生かして取り組んでいくことが必要だということでございます。
以上4点を御参考にしていただきながら、ぜひ八戸の企業誘致というものに取り組んでいっていただきたいと思います。
改めてこれを一つ一つ眺めてみると、やはり1つ浮かび上がってくるのは県との連携ということが、これまでの八戸の企業誘致における1つの課題であったのではないかと感じております。御存じかどうか、八戸市が主導する工業団地と県が主導する工業団地とで同じ企業に対するアプローチをすることになって、結果的に、残念ながら、市ではなくて県のほうを選ばれたという企業が過去にございました。もちろん優遇策の違いで、やはり県が主導される工業団地のほうが優遇策がよかったということで、そちらを選ぶことになったわけですけれども、ちょっともったいない、残念だという気がいたします。結果としてどちらかを選ぶことにはなるのだと思いますけれども、これからはぜひ県と市が一体となって、力を合わせて、トータルの成果をより大きなものにするような取組が求められてくるのではないのかと思います。
そういう意味では、熊谷市長は県議を5期務めておられて、あるいは県の副知事を2期務められた佐々木副市長にもおいでいただいておりますので、これまでの課題の一つである県との連携というもの、ぜひお二人のこれまでの御経験や人脈も生かしながら道を開いていっていただきたいと考えております。
そういう意味で、このあたりをどのようにお考えになるか。せっかくですので、こちらのほうは佐々木副市長から一言、急ですみません、お言葉をいただければと存じます。
それでは、再質問2点、よろしくお願いいたします。
○議長(森園秀一 君)市長
◎市長(熊谷雄一 君)上条議員の再質問にお答えをいたします。
産業都市としての宣言などによって発信すべきという御指摘を含めた御質問と受け止めさせていただきます。産業都市としての実績をまずは着実に進めながら、産業振興につなげていくことが大事ではないかと考えております。それから、壇上でも申し上げましたけれども、八戸のこれまでの産業都市としての発展の歴史を振り返りましたときに、やはり新産業都市の指定と、もう一つは平成14年の新幹線八戸駅の開業、私はこれが大きな契機だと捉えております。
この2つの時点で共通しておりますのは、これも先ほど上条議員からも御指摘をいただきましたけれども、経済界と行政が一体となって取組を進めてきたということであります。産業都市指定のときには総合的な展開をする組織があったり、それから新幹線のときには、八戸市と商工会議所と一体となった開業実行委員会がありました。当時私もそのメンバーの一人だったのですけれども、今はデジタル、あるいはグリーン、それからもちろんコロナもありますけれども、そういう変化のときにいま一度経済界と行政がしっかりとスクラムを組む、そういう一体感を醸成していくことが必要ではないかと考えております。そのことも含めて再生ビジョンのことも提案いたしましたし、それから、中小企業・
小規模企業振興基本条例は私の就任前からの話ではありますけれども、これをしっかりと運営していくための会議も設置させていただきました。そういうことを取り組みながら、一体感をつくっていきたいと考えております。
それから、脱炭素なのですけれども、例えば八戸の特徴であります港は今、カーボンニュートラルポートという考え方も出てきておりますし、それから、脱炭素に関心を持っている企業群も増えてきております。それらを連携させながら、新しい産業都市をつくり上げていく。そこに対応していくためにも、庁内での連絡体制をつくるようにということをお願いいたしております。ここも連携を図ってまいります。
それから、議員からも御指摘をいただきましたけれども、起業、創業――今特に若い人たちが地方にまた関心を持ち始めていると言われておりますので、そういう若い方々に帰ってきていただいて、八戸で活躍していただく、そういう環境もつくり上げていきたいと思っております。
いろいろ申し上げましたが、そういったことからいいますと、あえて宣言をするとしますと、戦略にも掲げております共に創るということで、未来共創産業都市と宣言をしたいと思います。
私からは以上です。
○議長(森園秀一 君)佐々木副市長
◎副市長(佐々木郁夫 君)上条議員の再質問にお答え申し上げます。
企業誘致につきましては、これまでも青森県における支援制度や関連事業を最大限に活用しながら、県と連携し、積極的に取り組んできたものと受け止めております。今般の
新型コロナウイルス感染症の流行や、それを契機といたしましたデジタル化の進展など企業立地動向にも変化が見られます中、これらの変化に対応し、今後成長が見込まれます。あるいは市場の拡大が期待される産業等の立地を図るためには、これまで以上に、県との日常的な情報交換をはじめとして、緊密に連携し、取り組むことが重要であると考えております。その上で、私といたしましても、これまでの経験等で生かせるものは生かしながら、市長を先頭に鋭意企業誘致に努力してまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)上条議員
◆14番(上条幸哉 君)市長、そして副市長、御答弁、誠にありがとうございます。御自身の言葉で市長から語っていただきました。ありがとうございました。
企業誘致につきまして副市長からお話しいただきましたけれども、日常的にきちんと緊密に連携を取り合ってということでございますけれども、ぜひその方向でお願いいたしたいと思います。
私、前にゾーニングという話をしたことがあるのですけれども、やはり青森県の中でもいろいろな色合いの地域があるということで、もうこれは釈迦に説法だと思うのですけれども、八戸に限っては製造品出荷額は北東北でもトップでございますので、やはり八戸が産業において非常に元気があるということが県にとっても大きな利益をもたらすものだと確信しております。そういう意味で、八戸がしっかりと青森県の皆さん、県の皆さんと連携をして取り組んでいくということが、これまた新しい取組が始まってくることになると思いますので、ぜひお力添えをいただきたいと思います。副市長、ありがとうございました。
市長のほうからお言葉をいただきました未来共創産業都市という言葉がございましたけれども、結構だと思います。私、前にも取り上げたことがあるのですけれども、私たちの八戸地域というのは、我々、先人の恩恵を非常に大きく被っている、いただいているということが言えると思います。新産業都市もそうですし、その前も、その後も、多くの先人たちが取り組んできたことが結果として、果たしてこの時代、こういう状況で皆さんが取り組んだものが実りとして、遺産として残っているかどうか。どこまで見えていて、どこまで確信を持っておられたか分かりませんけれども、少なくとも未来の子や孫たちに、ほかへ行かなくても、しっかり元気に暮らしていけるまちをつくりたいのだということで始まった産業都市への取組であったろうと思います。そういう意味では、植福という言い方をしたことあるのですけれども、将来の実りは得られなくても、やはり未来に向かって我々は常に福を植えていくといいますか、将来の実りに向けて取り組んでいくという視点が必要だと思います。
コロナ禍にあって、ややもすれば、とにかく目の前の生活を何とかしたい、何とか助けてほしい、支援金があればいい、何とか力添えをいただきたいのだということ、これはこれであります。これはこれでしっかりと応えていかなければいけないのですけれども、基本はやはり我々一人一人の植福の精神といいますか、将来にわたってこのまちをよりよいものにしていく、強いものにしていくということであろうと思います。
そういう意味では、どうか市長が先頭になってリーダーシップを発揮されて、大いに八戸の新しい時代を築いていただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○議長(森園秀一 君)以上で14番上条幸哉議員の質問を終わります。
これにて一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午後1時45分 休憩
--------------------
午後1時55分 再開
○議長(森園秀一 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
────────────────────
△日程第2 議案53件
○議長(森園秀一 君)日程第2議案第2号令和4年度八戸市
一般会計予算から議案第33号令和3年度八戸市
産業団地造成事業特別会計補正予算まで及び議案第36号
八戸北インター第2工業団地造成(
調整池地盤改良工)工事請負の一部変更契約の締結についてから議案第56号第7次八戸市総合計画を定めることについてまでを一括議題といします。
これより上程議案に対する質疑を行います。
御質疑ありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(森園秀一 君)御質疑なしと認めます。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております議案のうち、令和4年度関係の議案第2号から議案第17号まで及び議案第39号から議案第56号までについては、30人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(森園秀一 君)御異議なしと認めます。
よって、令和4年度関係議案については、30人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決しました。
ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第8条第1項の規定により、議長において、お手元に配付しております予算特別委員一覧表のとおり指名いたします。
┌──────────────────┐
│ 予算特別委員一覧表 │
├──────────────────┤
│ 山之内 悠 間 盛 仁 │
│ 高 橋 正 人 中 村 益 則 │
│ 吉 田 洸 龍 髙 橋 貴 之 │
│ 田名部 裕 美 久 保 しょう │
│ 久 保 百 恵 岡 田 英 │
│ 日 當 正 男 高 山 元 延 │
│ 上 条 幸 哉 苫米地 あつ子 │
│ 田 端 文 明 夏 坂 修 │
│ 工 藤 悠 平 藤 川 優 里 │
│ 小屋敷 孝 壬 生 八十博 │
│ 豊 田 美 好 松 橋 知 │
│ 寺 地 則 行 冷 水 保 │
│ 伊 藤 圓 子 山 名 文 世 │
│ 立 花 敬 之 坂 本 美 洋 │
│ 五 戸 定 博 吉 田 淳 一 │
└──────────────────┘
なお、予算特別委員は、次の休憩中に委員会を開き、正副委員長の互選を行うよう、本席から口頭をもって委員会を招集いたします。
この際、委員会開催のため暫時休憩いたします。
午後1時56分 休憩
--------------------
午後2時09分 再開
○議長(森園秀一 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
予算特別委員会において正副委員長の互選を行った結果、委員長に藤川優里委員、副委員長に中村益則委員が当選した旨の報告がありました。
次に、ただいま議題となっております議案のうち、令和3年度関係の議案第18号から議案第33号まで及び議案第36号から議案第38号までを議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
────────────────────
△日程第3 陳情について
○議長(森園秀一 君)日程第3陳情については、お手元に配付してあります陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
--------------------
休会の件
○議長(森園秀一 君)以上で本日の日程は全部終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
委員会開催のため、3月3日は休会いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(森園秀一 君)御異議なしと認めます。
よって、3月3日は休会することに決しました。
次回本会議は3月4日午後1時に開きます。
--------------------
散 会
○議長(森園秀一 君)本日はこれにて散会いたします。
午後2時10分 散会...